
1.iPhoneX が発表されて数日経ちました
iPhone X 〜新しいデザインコードの挑戦〜で書いたように、iPhoneXで新しいデザインコードが採用されました。
でもって、約1週間くらい、色々な書き込みを拝見しているのですが、ユーザ側から見たときに、「少しデザインが複雑に捉えられているのかも?」という雰囲気を感じたので追記しています。
2.シンプルデザインと複雑デザイン
アップルはスディーブ・ジョブズが復帰後に、ジョナサン・アイブをデザインの責任者にして徹底的にシンプルなデザインを追求してきました。流れとしては、Dieter Rams(参考本1,参考本2)のデザインの流れと言われています。
シンプル、複雑の言葉の定義が抽象的なのですが、イメージとしては、
シンプル :「引き算」プロダクトから、できるだけ不要なデザイン要素を減らそうと試みたモノ
複雑 :「足し算」プロダクトに、機能的に必要でないデザイン要素を足したモノ
と捉えても良いとは思います。
ちゃちゃっと、シンプルデザインと複雑デザインの特徴を下記の図に表してみました。

シンプルデザイン :デザインの複雑性が増すに従って「嫌い」が発生する
複雑デザイン :デザインの複雑性が増すに従って「好き」が発生する(時計、車などに多い)
*豆知識:
あくまでも、僕のデザイン経験上ですが、プロダクトデザイナーは2種類存在して、シンプルが得意な人と複雑が得意な人がいます。なので、プロダクトデザイナーにデザイン依頼するときは、この2種類は明確に確認しないと見事にコケます。両方を同時に出来る人は限られた人だけです。
こう考えた時に、iPhoneX は少し、デザインが複雑さを増して「嫌いな人が増えている感じ」かもしれません。
個人的には、iPhone4sでiPhoneは完成されてしまっている感じがしていて、iPhone5で16:9に縦に間延びして美しくなくなっています。それくらい、iPhone4sが美しかった!(特にホワイト)
3.何故、無理してまで有機ELを採用するのか?
僕も、発売されたら分解して見ると思いますが、iPhoneXは有機ELを使う事によって、コストが1万円以上も上がっていると予想されています。
但し、ビジネスとは非常に複雑なもので、iPhoneXは注目を浴びる「広告」の役割を果たしているので、別にこれが悪いわけではないわけです。
やはり、目立つデザインの商品というものはプロモーション効果は抜群ですし、人と違うものを持ちたいと言う人も多いので、おそらくエッジの効いた人はiPhoneXを購入して人に自慢するでしょう。この効果はバカに出来ないわけです(エッジ層の人達はiPhone7のジェットブラックは自慢出来なかったようですが・・・・)。
もう一つ、有機ELを採用する目的は、エンジニア視点からすると、「VRのディスプレイに使いたい」というものもあるのですが、今回は具体的なVRの発表が無かったのでもしかして将来にむけての有機ELなのかもしれません。
*Dieter Ramsはデザインを見れば美しさが色々感じてもらえるかと